ABHRS認定 ISHRS・FISHRSフェロー
呉文藝医師の香港植毛セミナーは10月4日です。席数に限りがあるため、お早めにご予約ください。    •    20年以上の実績|国際認証医師|日本語対応可能|LINEでスムーズにご相談いただけます    •   

脂漏性皮膚炎があっても植毛できる?頭皮の安定条件と手術のタイミング

脂漏性皮膚炎があっても植毛できる?頭皮の安定条件と手術のタイミング

脂漏性皮膚炎があっても植毛はできるのか。多くの場合は可能ですが、私はまず頭皮の炎症を落ち着かせてから手術を予定することをおすすめしています。完治を待つのではなく、手術の時点で赤み・かゆみ・フケ・ひっかき傷が落ち着いているかが大切です。

抜け毛の相談で来院される方の中には、男性型脱毛症に加えて脂漏性皮膚炎がある方が多く、「先生、頭皮が脂っぽくて赤く、フケも出ます。それでも植毛できますか?」とよく聞かれます。私は脂漏性皮膚炎があるという理由だけで可否を決めるのではなく、まず今の頭皮の状態を診て、抜け毛の原因を一緒に確認するようにしています。

要点:脂漏性皮膚炎は、それだけで植毛ができない理由にはなりません。大切なのは手術時に頭皮が安定しているかどうかです。赤み、フケ、かゆみ、ひっかき傷が目立つ場合は、まず治療で炎症を抑え、改めて植毛の時期を評価します。完治は必要ありませんが、再発しやすいため術前術後も頭皮のケアを続けることが大切です。抜け毛の原因、ドナー部の状態、手術の時期は、医師による直接の診察が必要です。

脂漏性皮膚炎とは?抜け毛の原因になる?

手袋をした医師がくしで頭頂部の髪を分け、頭皮の軽い赤みと細かいフケを確認している様子。そばにダーモスコープ
手袋をした医師がくしで頭頂部の髪を分け、頭皮の軽い赤みと細かいフケを確認している様子。そばにダーモスコープ

脂漏性皮膚炎は、よくみられる慢性の皮膚の炎症で、良くなったり悪くなったりを繰り返しやすいのが特徴です。頭皮、眉毛、小鼻のわき、耳の後ろなど皮脂腺の多い部位に起こりやすく、米国家庭医学会の2025年のレビューでは、境界のはっきりしない赤みと、黄色く脂っぽいフケが典型的とされ、かゆみを感じる方も多いと説明されています。

フケはその軽いほうの端と考えられ、脂漏性皮膚炎では炎症が加わるため、頭皮が赤くなりかゆみが出ます。米国皮膚科学会も、うつる病気ではなく根本的に治す方法はないものの、治療でかゆみや発疹を和らげ、一時的に消えることもあると説明しています。

脂漏性皮膚炎がそのまま薄毛につながると思われがちですが、必ずしもそうではありません。私の臨床経験では、脂漏性皮膚炎そのものが毛包を永久的に傷めることは通常ありません。ただ、長く炎症が続いたり、頭皮をかきむしったりすると、抜け毛が目立ちやすくなることがあり、もともと男性型脱毛症がある方では特にそう感じやすくなります。

生え際の後退、そり込みの深まり、頭頂部が少しずつ薄くなるといった変化は、男性型脱毛症に近いパターンで、フケの対策だけでは改善しません。男性型脱毛症が気になる方は、男性型脱毛症(AGA)とは?原因・進行度・治療もあわせてご覧ください。

脂漏性皮膚炎、男性型脱毛症、その他の頭皮トラブルの違いは?

診察では、男性型脱毛症と脂漏性皮膚炎のように、2〜3つの問題が同時にあることがよくあります。どれが主な原因かを見分けることで、先に頭皮を治療するのか、植毛の相談を始められるのかがわかります。

下の表はおおまかな目安です。実際の診断には医師による頭皮の診察が必要で、必要に応じてダーモスコープで確認します。

状態よくある頭皮の様子抜け毛のパターンまず行うことが多い対応
脂漏性皮膚炎皮脂、赤み、黄色く脂っぽいフケ、かゆみ。眉毛、小鼻のわき、耳の後ろに広がることもかきむしりや炎症に関連することが多く、通常は永久的ではない炎症とかゆみを抑え、安定期のケアを身につける
男性型脱毛症頭皮自体は正常に見えることが多い生え際の後退、そり込みの深まり、頭頂部の薄毛。髪が徐々に細くなる進行度と経過を確認し、薬や植毛を検討
頭皮の乾癬境界のはっきりした赤い斑に、厚めの銀白色のフケ強い炎症やかきむしりで抜け毛が出ることも皮膚科で病状をコントロールし、活動期は手術を延期
毛嚢炎毛穴のまわりの赤み、腫れ、膿、痛み繰り返す、または重い場合は局所の毛包に影響することも原因を調べ、感染や炎症を治療

頭皮に炎症があるときに植毛すると、どんな影響がある?

植毛は、頭皮に多数の小さな傷をつくり、毛包を必要な場所へ移す手術です。頭皮の赤みが強い、フケが大量に出る、かゆみが続く、すでにひっかき傷があるなど、炎症がはっきりしている時期は、手術を急がないことをおすすめします。

主な理由は次の3つです。これは増える可能性があるリスクで、全員に起こるわけではありませんが、先に頭皮を整えておくと術前術後の経過がシンプルになります。

考えられる影響説明
感染リスクが高まる可能性炎症のある頭皮はバリア機能が弱く、ひっかき傷から細菌が入りやすくなることがある
回復が順調に進みにくい可能性炎症が続くと、移植部や採取部の傷の回復に影響することがある
術後の不快感が強くなる術後はかさぶたやかゆみが出るのが普通だが、脂漏性皮膚炎が抑えられていないと赤み・かゆみ・フケが目立ち、かいてしまいやすい

どんな頭皮の状態なら植毛を予定しやすい?

頭皮は安定し目立つ赤みはない状態で、患者と医師がタブレットで頭頂部の拡大画像を見ながら植毛の時期を検討している様子
頭皮は安定し目立つ赤みはない状態で、患者と医師がタブレットで頭頂部の拡大画像を見ながら植毛の時期を検討している様子

私が評価するときは、頭皮が安定期に入っているかを見ます。一般的には、次のような状態を目安にしています。

  • 頭皮の赤みがはっきり改善している
  • フケが明らかに減っている
  • かゆみが抑えられ、かきたくなることが少ない
  • 目立つひっかき傷、かさぶた、傷がない

適切な治療を受けて、数週間から数か月後に再評価することが多いですが、頭皮の状態や反応は人それぞれなので、決まった待機期間を当てはめる必要はありません。頭皮が落ち着いたあとも、抜け毛の原因や範囲、後頭部のドナー部の毛包の状態をあわせて確認し、植毛が適しているかを判断します。

ご自身の髪の状態が手術に向いているか気になる方は、植毛前に評価すべき髪の状態は?もご覧ください。

脂漏性皮膚炎は完治しないと植毛できない?

その必要はありません。脂漏性皮膚炎はもともと再発しやすい慢性の皮膚トラブルで、しっかりコントロールできている方でも、あとで再び症状が出ることがあります。

米国皮膚科学会のセルフケアの助言では、よくある悪化要因として、ストレス、寒く乾燥した気候、熱いシャワーや入浴、大量の汗、刺激の強い洗浄剤や化学製品が挙げられています。ヘアジェルやワックスなどの整髪料を多く使うことも、症状を目立たせることがあります。悪化要因は人によって違うので、いつ症状が出やすいかを記録しておくと役立ちます。

つまり私が確認するのは、今の頭皮が安定しているかどうかであり、今後一度も再発しないかどうかではありません。頭皮が安定期にあり、悪化したときの対処法もわかっていれば、植毛の相談に進むことができます。

頭皮の乾癬でお悩みの方は頭皮の乾癬があっても植毛できる?を、頭皮に赤く腫れたニキビのようなものがよくできる方は頭皮の毛嚢炎で髪は抜ける?も参考にしてください。

植毛の前後、脂漏性皮膚炎はどうケアする?

男性が洗面台の前で指の腹を使ってやさしく頭皮を洗っている様子。そばに無地のポンプボトルとタオル
男性が洗面台の前で指の腹を使ってやさしく頭皮を洗っている様子。そばに無地のポンプボトルとタオル

手術前:治療を続け、自己判断でやめない

皮膚科で薬用シャンプーや外用薬を処方されている場合は、植毛を控えているからといって自分でやめず、指示どおり使い続けてください。診察の際に、使用中のシャンプー、外用薬、その他の頭皮用製品を教えていただければ、術前術後の使い方を計画しやすくなります。

洗髪は指の腹でやさしく、熱すぎないお湯でしっかりすすぎ、爪で頭皮をかかないようにしましょう。米国家庭医学会は、頭皮の脂漏性皮膚炎は抗真菌シャンプーや、医師が処方する抗真菌・抗炎症の外用薬でコントロールできるとしています。どれをどのくらいの頻度で使うかは、医師が状態に合わせて決めます。

シャンプーの「育毛」「抜け毛防止」といった表示が本当に効くのか気になる方は、育毛シャンプーに効果はある?もご覧ください。

手術後:術後の指示を守り、悪化したら受診

術後数日の洗髪方法や、いつもどおりのシャンプー・外用薬に戻せる時期は、術後の説明と医師の指示に従ってください。移植部に自分で薬を塗ったり、強くこすったりしないようにしましょう。

術後に皮脂、フケ、かゆみ、赤みがはっきり出てきたら、まず受診して、通常の回復過程なのか脂漏性皮膚炎の悪化なのかを医師に確認してもらってから対処を決めます。かさぶたを自分ではがしたり、自己判断で薬をやめたり変えたりしないでください。術後ケア全般については、自毛植毛後の正しい過ごし方・アフターケアもご覧ください。

植毛後、脂漏性皮膚炎は新しく生えてくる髪に影響する?

これも患者さんがとても気にされる点です。現在の情報と私の臨床経験からは、よくコントロールされた脂漏性皮膚炎が移植毛包の長期的な生着に影響するという信頼できる根拠はありません。

移植する毛包は通常、男性型脱毛症の影響を受けにくい後頭部から採取し、前頭部や頭頂部に移したあとも、一般にもとの性質を保ちます。ただし、まわりの既存の髪は男性型脱毛症があれば変化し続けることがあり、これは脂漏性皮膚炎とは別の問題として経過をみていく必要があります。

術後に脂漏性皮膚炎がひどく繰り返す場合は、皮膚科や植毛医の治療を受け、頭皮を安定した快適な状態に保つことをおすすめします。

脂漏性皮膚炎と抜け毛、先に皮膚科と植毛医のどちらを受診する?

今いちばん困っていることで決めてかまいません。両者は対立するものではなく、皮膚科で頭皮を整え、その後に植毛医が抜け毛と手術時期を評価する流れも多くあります。

あなたの状況まず受診する先理由
頭皮の赤み、かゆみ、フケが目立ち、まだ診断を受けていない皮膚科脂漏性皮膚炎、乾癬、毛嚢炎、その他の頭皮疾患かを確認し、治療を始める
頭皮は落ち着いたが、生え際の後退や頭頂部の薄毛がある植毛医抜け毛の原因や進行度、ドナー部の状態、薬や植毛が適しているかを評価する
頭皮の炎症を繰り返し、植毛も希望している両方皮膚科が頭皮の安定を担い、植毛医が頭皮の状態に合わせて評価と手術時期を計画する

医師からのひとこと

診察では、男性型脱毛症と脂漏性皮膚炎が同時にあり、頭皮が脂っぽくフケも出やすい患者さんによくお会いします。脂漏性皮膚炎があると一生植毛できないと思い込んでいる方も多いのですが、多くの場合は頭皮の炎症を落ち着かせれば、手術を検討することができます。

手術日を急いで決めるより、私は頭皮が安定期に入っているか、抜け毛の原因がはっきりしているかを大切にしています。頭皮にまだ赤みやかゆみ、フケがある間は、まず皮膚科で治療を受けてください。落ち着いたら、使用中の薬と頭皮の写真を持ってきていただければ、ドナー部の状態と適切な時期を一緒に確認します。頭皮の状態は一人ひとり違うため、直接の診察が必要です。

本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断に代わるものではありません。

医療情報の参考

脂漏性皮膚炎があっても植毛できますか? +

多くの方は植毛が可能ですが、炎症がはっきりしている時期は避けることをおすすめします。頭皮の赤み、フケ、かゆみ、ひっかき傷が残っている場合は、まず炎症を抑えてから医師が手術時期を評価します。

脂漏性皮膚炎はどのくらい落ち着けば植毛できますか? +

決まった待機期間はありません。数週間から数か月の治療後に再評価することが多いです。大切なのは完治ではなく、赤み・かゆみ・フケ・傷が落ち着いているかどうかです。

脂漏性皮膚炎で薄毛になりますか? +

通常、永久的な薄毛の原因にはなりにくいですが、かきむしりや強い炎症で一時的に抜け毛が増えることがあります。生え際の後退や頭頂部の薄毛がある場合は男性型脱毛症が重なっている可能性があるため、医師の診察を受けてください。

植毛後に脂漏性皮膚炎が再発したらどうすればいいですか? +

術後に皮脂、フケ、かゆみ、赤みが再び出てきたら受診し、医師に確認してもらいましょう。必要に応じて洗い方や外用薬を調整します。かさぶたを自分ではがしたり、自己判断で薬をやめたり変えたりしないでください。

脂漏性皮膚炎は移植した毛包の生着に影響しますか? +

よくコントロールされた脂漏性皮膚炎が移植毛包の長期的な生着に影響するという信頼できる根拠は、現時点ではありません。ただし炎症が強い、傷があるといった場合は術後の不快感や感染リスクが増える可能性があるため、術前に頭皮の安定を確認します。

植毛前に脂漏性皮膚炎の薬をやめる必要がありますか? +

自己判断でやめないでください。使用中の薬用シャンプーや外用薬を医師に伝え、手術に合わせた術前術後の使い方の説明を受けましょう。

本記事は呉文藝医師が監修・専門的なアドバイスを提供しています

呉文藝医師|萌髪植毛クリニック 院長

呉文藝医師|萌髪植毛クリニック 院長

LINE相談 WhatsApp相談